大人になったときの生活の場を見学 前編

ダウン症児の成人後・老後

障害福祉施設を見学したので、内容と感想をまとめてみました。
今さらではありますが2018年12月の見学を前編、2019年12月の見学を後編として分けています。
施設のホームページを参考に、記憶をたどっていきました。
施設は富山県東部の某所で、プライバシーを気にして伏字にしています。
他の地域の方が読まれても、知的障害者が大人になったときのイメージとして、参考になれば幸いです。

2018年編

はじめに やはり気になるのは自立や親亡き後

娘が生まれてダウン症と告知されてから、一番気がかりだったこと。
それは、成人したらどんな生活をして、さらに親亡き後はどうやって生きていくのだろう、ということでした。
全ての障害児パパママに、共通した関心事かと思います。

初めて親の会に参加したとき
「親亡き後のことが心配なんです。たとえば現在、親も兄弟もいない方の暮らしがどんなものなのか、一例だけでも知りたいのですが。」と、大先輩ママに質問しました。
すると、「そんなこと今のうちから心配してどうするの!ちゃんと生きていけるから大丈夫なの!」と、精神論でピシャリと閉じられました。
「(内心)いや~そういうんじゃなくって・・・」
また、子育てイベントで知り合った、障害者入所施設で働いていた方にも、同じ質問をしました。
そのときははっきりした返事がなかったのですが、
後からLINEで、とても丁寧に書かれた精神論が届きました。
(既読スルーしてしまって、後から謝罪されましたが、私も失礼なヤツ。。。)
なぜ精神論しか教えてくれないのだろう?
もしかして、何も言えないくらい深刻な世界なの?
とはいえ、質問したのはたったの2人。
私の質問の仕方がまずかったのかもしれないし、励まさなきゃ!と思われたのでしょう。
今後は少しずつ情報収集していくしかないな、と思いました。
(ちなみに、現在のところ親の会には所属していません)

そんな出来事もすっかり忘れそうだった、ぴょこりん1歳10か月のある日。
12月初旬の障害者週間イベントとして、3つの役所が合同で主催している、
障害者施設見学ツアーがあることを知り、申し込みました。
コースは2種類あり、自宅から近いほうを選択。
ぴょこりん連れだと大変なので、私の両親にも付き添ってもらうことにしました。
このときはもう、大人になったときの生活の不安というよりは、施設への興味関心という単純な気持ちに変化していました。
いつも通りかかる此処は、何をしているところだろう?
娘が開いてくれた、新しい扉という気分でしょうか。
では、ツアースタートです。

M苑(生活する施設、グループホーム)

たまに通り過ぎる施設で、ここは学校みたいだけど何なのかな?と思っていました。
初めて中に入り、障害者の方が暮らす入所施設だと知りました。
最初に見学した休館は古く、先ほども書いた通り学校っぽい建物でした。
玄関で人懐こい利用者さんがお出迎え。
扉が全開で、見えている部屋がありました。
和室に少ない荷物が整然としていました。
男性限定の住居のようで、昭和の寮という雰囲気でした。

新館のほうは、グループホームの集合というか(名称が分りません)
絵にするとこんなかんじでした。

大広間に繋がって、幾つかの扉があります。
その扉は施錠されています。
(なんでだろう?逃亡しないようにとか、侵入者を防いだりとか、安全面だと思います)
扉を抜けると、4~6人ほどの住まいがあります。
性質や年齢が似ている方が、同じ住まいになるそうです。
激しい系の方たちの場所は、施錠が2重になっていたりなど・・・
少しショックでした。
職員さんたちも大変なのでは・・・

真ん中の広間で、施設の説明や質疑応答の時間がありました。
そのとき、まさかの余計なことしいのとび父が、気の利かない質問をしました。
「ちょっと部屋が綺麗すぎやしませんか?殺風景というか。絵を飾ったりとか、暖かい雰囲気がもっとあればと思うのですが」
ぎゃーーーー!やーめーてーーーーー!!(心の悲鳴)
なんだその挑戦的な質問は?(私の連れ合いだと思われたくないぜっ)

そんな質問に、施設長さん(だったかな?)は優しく答えてくださいました。
「入所者の中には、壁に何かかかっているだけで精神的ダメージを受けたり、破壊行動に出る方がおられます。そういった方への配慮で、共有の部屋には装飾物を一切置かないんです。もちろん個室の中は何を飾っても自由ですよ。」
父の質問は恥ずかしかったけど、とても勉強になる回答でした。
発達障害の子が、教室に飾ってあるものなどを見て「あ゛あ゛あ゛!!」ってなるという話しは聞いたことがあります。
聞かなければ知ることのない、色々な障害があるんですね。

また、施設長さんのお話しの中で、
「知的障害はなぜか男性が圧倒的に多い」というのが、とても印象的で驚きでした。
ネットで検索するといろいろ出てきますが、理由については脳の構造説などなんやかんや、実際はまだ解明できていないようです。

N苑(就労A,B)

海へ向かっていく狭い道の途中に、ひっそりと現れるN苑。
建物の中は綺麗だけど無機質で、先ほどの「飾りがあるとダメ」の話しを思い出しました。(ここでは関係ないかもしれませんが)

部屋の中には、黙々と作業される方3~4名ほどに対して、見守り係の人が必ず1人ついており、そのグループが幾つかあるようでした。

就労Aや、就労B、(就労ではない作業所もあったかも)が
それぞれ部屋に分かれていました。
大手企業のダンボール部品組み立てなどで
就職(障害者雇用)につながった人も、わずかですがおられるそうです。
ダウン症の方もおられて、なんだか嬉しくなりました。

責任者による施設の説明があり、
N苑だけで、就労A、B、生活訓練、デイサービス、グループホームなど、たくさんの事業や建物があることを知りました。

ぴょこりん連れだと、説明や質疑応答など集中して聞きにくいものの、見学できるだけでも得るものは大きかったです。
玄関を出る前に、販売されていた小物を買いましたが、
正直なところ支援したいという気持ちだけで、商品にもっと魅力があればいいのにな、と思いました。(とか思っていたら、翌年には欲しくなるような小物が追加されていましたww)

4.2018年編感想 娘が大人になったとき

その後、コミュニティーセンターでお弁当を食べて、バス(移動はずっとバス)で役所に戻り解散でした。
ぴょこりんはお昼どきにぐずぐずになりましたが、とび父とび母がいたおかげで、なんとかなりました。
おみやげまでもらって、今回見学していない工房Aのクッキーが入っていました。
とても美味しいクッキーでした。

今回見学したM苑とN苑の全体的な感想ですが、
どちらも寂しい場所にある印象で、中もちょっと寂しいかんじがしました。
でも利用者さんたちは、ぞろぞろと人がやってきて、じろじろ見学されて、緊張されていたのかもしれません。
ふだんは冗談や笑い声が響く時間もあるかもしれないな、あったらいいな、そう思いました。

娘を将来ここへ入れたいかというと、正直な気持ち、微妙でした。
この道からは外れたオリジナリティーな活動をしてほしいと思いました。
でも娘が何をしたいか、何ができるかなんて、そのときにならないと分かりません。
私は、絵や音楽やモノづくり等、アーティストになってほしいと勝手に思っています。
でも娘はそうじゃないかもしれません。
そんなとき、こういった施設へ行く道も大いにありだし、とてもありがたい受け皿だな、と思いました。
(もしかしたら私が知らないだけで、見学した施設も、アート活動を支えてくれる仕組みがあったりして?)

私や家族が先立った後のことは、たとえ受け皿があっても、不安をぬぐい去ることはできません。
娘が良い人にとり囲まれ、たくましく生きていけるよう、祈っていくしかないと思ったのでした。
もちろん、生活訓練などできることは全てやる前提で、誰かに丸投げしたり責任放棄という意味ではありません。
祈るとは、ポジティブな気の持ちようや行動を超えた、信仰の世界の話しと言えます。
私はクリスチャンなので、神が良しとされる祈りは本当に聞かれることを信じています。
ですが、たとえ信仰を持たない人でも、信じていくしかない領域で、信じて実現するということは多々あります。
神の恵みはスケールがでかすぎて、信仰者だけに与えられるというケチくさいものではないらしいです。
厳しい現実もありますが、どんなに備えても手の届かない部分は、天に任せて信じていきましょうよ、とオススメしたいです。
(そうなると冒頭でケチをつけた精神論も、あながち間違いではないということで・・・笑)

次回、2019年編へ続く

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ぴょこりん動画劇場

まもなく3歳になるぴょこりん。
私がウルフルズの名曲のフレーズ「かわいいひと」の部分だけを、
いつも歌って可愛がっていたら、
いつのまにかこんなことに!
(部屋が崩壊しているのはお見逃しください)


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